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浜口 早苗
浜口 早苗
novelistID. 15458
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田舎暮らしのさなえってぃ

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Vol.1


 私がダーリンと暮らし始めたのは数年前。

どちらかというと、彼の住んでいる家 兼 アトリエに私が転がり込んだ形で始まった。 彼の家は郊外の山の近く。自然がまだまだ残っている場所だ。
温泉だって近くにある。
なんていい所なんだ!と、最初は思った。

でも私は都会生まれの都会育ち。
最初は旅の長期版みたいだったけれど、やっぱり暮らすとなると不便なことは多い。
しかも私は、大の虫嫌い。夏の間など、見たこともない虫達に出会えた、という感動はなく、毎日が恐怖の連続だ。
だいたい、ムカデなどとは一生出合うことはないと思っていたけれど、家の中をあの巨大なムシにたくさんの足を使って闊歩されると、見捨てておく訳には行かない。。。
あの虫は、刺したりして、危険なのだ。。。

小学生の頃、私は「シートン動物記」が大好きで、何度も何度も読み返していた。あまりに何度も読み返しすぎて、さすがに飽きたのでそろそろ違うものを、と選んだのが「ファーブル昆虫記」だった。
私にとって、なんだか2大シリーズみたいで、小学生としてこの2つはマストで読まなけ
ればいけないもの的に思っていたから、いざ読まん!と、勢い込んで読みはじめたけれど、確か第一章の「ふんころがし」のところで早くも断念した。 自分は昆虫には向かないのだ、と思い知ったのだった。
そういえば、最近、サッカーのワールドカップアフリカ大会で、糞ころがしのマスコットが出てきていた。懐かしかったなぁ。アフリカでは大地を豊かにしてくれる大切な虫なのだそうだ。
そんな虫恐怖の毎日でも、日暮しの声が聞こえると、本当に幽玄な気持ちになる。朝と夕に聞く日暮しは、涼しげだ。ここに住んでていいな、と思えるときだ。

さて、ダーリンのことを少し。彼はそこそこの画家で、個展もたまに開く。けれど、それだけでは食べていけないから、近くの学校で美術の先生もしている。

思えば、私は子供の頃から絵が上手に書ける人に憧れてきた。
小学校4年生の頃、隣に座っていた男の子が、冬のオリンピックをテレビで見て、ジャンプの絵を描いていた。 その時私が何を書いたのかなんて、覚えていない。
でも、その子が書いた絵は今でも記憶に残っている。。。
多分そのときに褒めて、褒めて、褒めちぎったんだろう。とにかく、感動したから。
その後、その子から告白されて、どうしたらいいのか分からなかった自分をその後何年も責め続けた。結局、小学校を卒業した後、その彼とは2度と会うことがなかったから。

今のダーリンもやっぱり絵がきっかけだった。
何気に彼の作品は知っていて、偶然個展で出会ったのだった。
彼の絵は気に入ってたし、だから個展にもいったけれど、ものすごいファンっていうわけではなかった。 下調べもしてないし、個展にいった後、図書館で本を借りてきてどんな経緯なのかなんて知ったくらいだった。 でも、彼は素直に喜んでくれた。自分の作品を好きになってくれる人がいて、「うれしい」という。純粋な人なのだ。
ステキな人だな、と思った。

ま、そんな馴れ初めはまた、おいおい話すこととして、どんな風な田舎暮らしなのか、退屈に見える田舎暮らしの日々を書き綴っていく。