小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
本庄ましろ(公夏)
本庄ましろ(公夏)
novelistID. 5727
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

Estate.

INDEX|15ページ/15ページ|

前のページ
 

Estate.


 ―――夢のようだったひと夏。あの夏の中の青年に、私はいつかまた、会えるだろうか。

 そう文章を締めて、ペンを置いた。
 文字にするたび、ひとつひとつ思い出す、サキ。
 10年の月日が経っても、一つも色あせない。
 子供のような笑顔、大人びた横顔、誰より強い泣き顔、鮮やかな歌声。
 思い出と片付けるには、あまりにも鮮やか過ぎる記憶。
 あの夏から時が経ち、俺のまわりは随分と変わったけれど、いつまでも色褪せないあの夏の名残は、今も変わらずに在り続けていた。

 なあサキ、お前今、どうしてる?

『――夢みたいな夏をね、過ごしたんです。』

 その時、ふいに届いた、声。

『ある人と二人きりで、本当に夢みたいな夏を過ごした。その夏に一つ、俺は大事な約束をしたんだけれど、その約束が、今の俺を形作ってる。この歌は、その約束の形です。―――どうか、届きますように。』


『――Estate.』


 あの夏の青が、目の前に広がった。


 必ず探し出す。 
 あの約束は、今でも有効か?サキ。



                       Fin.
作品名:Estate. 作家名:本庄ましろ(公夏)