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VARIANTAS ACT 17 土曜の夜と日曜の朝

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「h3の導入に併せて、中央軍にF型が配備されます」
「“空軍”の件はご存知?」
「中央軍に新設される空中機動軍…でしたね」
「空軍は、キクチ金属工業社製の可変機体にジェネシック社製第4世代FCSとアーシェ・クロイツ社製ISRセンサーを組合せて運用するみたい。“陸軍”は焦っているわ。F型の配備に躍起よ」
「中央軍の後押しも有りながら何故?」
「F型が中央軍に配備されれば、軍閥や集落が騒ぎ立てるでしょうね。なんと言っても、未だにT‐72を使っている所もある事だし。それに、サンヘドリンの支部軍閥も黙っていないわ。自分達の持つ兵器のアドバンテージが、一気に薄れるんですもの」
「内輪揉めを防ぎたい訳ですか」
「それだけじゃない。友人の一人から知らせが有ったのよ。h3は危険だって」
「何か問題でも?」
「まさか…」
「私はh3に乗りました。あの機体は傑作機だ。あの機体には戦友達を護る力がある」
「ふふ…」
「何か?」
「まさか貴方の口から仲間なんて言葉が出るなんて…」
 ワルツの演奏が終わる。
「ありがとう、大佐。楽しかったわ。それと…」
 彼女はグラムに寄り添い、耳元で呟いた。
「ケスティウスに伝言…。もう、忘れなさいって…」




***************




 まず、コーヒーのありかがわからなくなった。
 朝食も自分で作ったけど、あまり美味しくない。
 二人で居た時は窮屈に思えた部屋も、今ではとても広く感じる。
 でも、もう慣れた。
 10年も経てばなおのこと。
「すまん、まだ生きてるんだ」
 大きなポプラの木の下。
 人気の無い、静かな淋しい丘の上。
 ガルスは、墓石の上に乗った枯れ葉を手で掃いながら、小さくそう呟いた。