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白井 たえ
白井 たえ
novelistID. 15299
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馬鹿じゃない!

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「またかよ。ったく・・まいったなー」

 自分の置かれた状況にがっくりとうな垂れてしまう。
 月曜日には多いっていうけど・・・これで何度目だ?
 
 誰に伝えるでもなく零れた言葉に思いがけず返事が返ってきた。

「そうだね。これからどうしようか?」
「へ?」
「ん?だから、電車。止まっちゃったでしょ?さっきの事故で」

 おぉっと、そうだった。
 今日から中間テストだっていうのに、電車が走らないんじゃ・・・・

「遅刻決定だね。今日のテストは受けられないかな」
「あ、ああ!そだな」

 (てか、こいつ・・・誰?)

 隣を見ると自分と同じ制服を着た男子生徒。
 横顔を見ただけでわかる。イケメン。それも超がつくくらいの。
 
 (見たことあるような気もしないでは、ない。けど・・・)

「とりあえず電話してみよっか、学校。
 きっと僕達の他にも同じ電車の奴らもいると思うし、
 状況だけでも伝えておかないとね」

「それから・・・初対面の人間を見るような目付きは止めてもらえるかな?
 僕は君と同じクラスなんだけど。本当にわからない?」

 呆れたように大袈裟に肩を竦めて見せると、

「古河だよ。古河(こが さとし)悟史」 

 っとフルネームを口にした。

「お、俺は森田(もりた けんじ)健二!」
 
 慌てて名前を言うと、クスクスと笑いながら携帯を操作し、

「知ってる。―――あ、もしもし・・」

 と真面目な顔に戻って電話の向こうの相手と話し始めた。


 (コガ?こが?・・・いたっけかな?そんな奴)

 健二の側から少し離れたホームの端に移動する悟史を目で追う。

 (なんだよ、あの超美形。本当に俺と同じ人間なのかっつーの!)

作品名:馬鹿じゃない! 作家名:白井 たえ