人間屑シリーズ
一日目
妻は宇宙人なのだ。
言葉は謎の「ぴーぽこー」語しか発せられない。食事も勿論、俺が与えねばならない。
「口を開けて」と言ってはみたものの言葉が通じない。仕方が無いので妻が「ぴーぽこー」と発した時に口の中へ放り込むという作戦をとった。彼女は口の中に入った物を特に確認するでもなく、そのまま咀嚼し飲みこんだ。
妻は宇宙人なのだ。
当然、地球人のように排泄が出来ない。
「ぴぽこぉー」
情けない声を出したかと思うと、リビングの椅子で座ったまま放尿していた。驚きながらも俺は妻を風呂に連れて行き、妻の体を洗った。
妻の体を拭き衣服を着せた後、排せつ物を片付ける為の雑巾を探していると、リビングから妻の楽しそうな声が聞こえてきた。
「ぴぽっ ぴぽっ ぴぽっこーーー」
奇妙な声を耳にしながら急ぎリビングへ戻ると、自分の尿で出来た水溜りで遊ぶ妻の姿がそこにはあった。
……勘弁してくれ。
そう思いながら、ざっとリビングを拭き妻をまた風呂まで連れて行く。
妻の体を拭いて、妻に新しい衣服を着せると急いでリビングに戻り、しっかりと拭き掃除をする。滝のように汗が流れ落ちる。たったこれだけの事なのに、自意識というものの無い人間を相手にするのは何て疲れる事なんだ。……しかし俺には責任がある。
妻がこうなったのは俺のせいなのだから。