小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

A Groundless Sense(2)

INDEX|9ページ/9ページ|

前のページ
 

 カツシは湧きたつ興奮を抑えられなかった。世界は思っていたより、広いのだ。
 泉子は言った。
「それはいいけど、これからどうするの? ここには何の設備もないよ。食べ物だって水だっって……」
「水とトイレなら、あるわ」
「えっ?」
「保線員のために備えてあったのよ。ここはまだSAITOの管轄だから、システムが連動したまま残ってるのかもしれない。蘭が生きてこられたのが、何よりの証拠でしょ?」
 トンネル内は、指定の場所に非常食を保管する義務もあった。事故は滅多になかったというから、使われずに眠っている食料があるかもしれない。何しろ閉鎖から時間が経っているので、賞味については保証できないだろうが……。
 夜が明ければ、SAITOに厳戒態勢が敷かれることだろう。もう後戻りはできない。
 カツシは蘭を背負うと、手掘りの通路に目をやった。
「ミナト……」
 千江は再生所から持ち出してきた背嚢を背負うと、平らなレールの上を、ペンライトで照らして歩いていく。
「取り返したかったら、生き延びなさい」
「クッ……」
 カツシは奥歯をかみしめ、泉子に付き添われながら後につづいた。
作品名:A Groundless Sense(2) 作家名:あずまや