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黒竜と彼のご主人さま

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ラインバルレ・ノア・ラウンバーグ。

彼は身の丈程の大剣を自由自在に扱い、一振りで千人もの人を薙ぎ倒しては、自分よりも強い者や魔物にひたすらに挑んでいた。
力を貪欲に追い求め、自身の体の一部が負傷していても構わず戦いに明け暮れているような人だった。

ある日、ラインバレルが魔物を追いかけ、迷い込んだ森の奥に遺跡を見つけた。
その状態からまだ誰にも発見されていない遺跡だと気づき、彼は無謀にも足を踏み入れると、案の定その遺跡は凶暴な魔物の棲みかだった。
もちろんそこで引き返すラインバレルではない。
彼は縄張りを踏み荒らされて凶暴化した魔物に構わず遺跡の奥を目指した。

そうしてたどり着いた遺跡の深いところで、彼は一振りの細身の剣と出会った。
薄暗く、所々が崩れていた部屋の中、その剣はぼんやりと光っているようにも見え、引きつけられるようにラインバレルはその剣に近づいた。
見れば所々に細かな細工が施され、刀身と柄の間にうずらの卵程の大きさの黒い宝石がはめ込まれていた。
ラインバレル自身宝石の目利きはないが、この宝石の価値は計り知れないと感じた。
恐る恐るそれに手を伸ばそうとした時、反射的に背後からの殺気に左に跳んだ。
直後、ラインバレルが先ほどまで立っていた場所が鼻につく臭いと共に地面が溶けた。
間髪を入れず、続けざまに液体がラインバレルに向かって吐き出される。
それをギリギリのところで避けるが、避けた先で魔物の爪が容赦なくラインバレルの体を貫いた。
それでも彼は倒れることなく踏む留まり、自分の脇を捉える魔物の腕を脇に締め上げて逃げられないようにし、愛用の大剣を思いっきり降り下ろした。
しかし大剣は下まで振り下ろされることはなかった。
ここまでたどり着くため多くの魔物を切って摩耗したせいか、切れ味が鈍い。
いや、それ以上にこの魔物が頑丈なのだろう。
力任せに、ラインバレルは再度大剣を同じ場所に振り下ろした。
それに魔物が雄たけびを上げると闇雲にその腕を振り回した。
その反動でラインバレルは後ろに突き飛ばされ、動けないでいるラインバレルに魔物は口から液体を吐き出した。
近距離で避けるスペースがなく、思わず自分の大剣を盾にそれから逃れる。
白い煙とともに、長年の相棒が端から見る見るうちにぼろぼろに崩れ落ちていく。
何をしても決して折れることも、壊れることもなかった大剣があっという間に使い物にならなくなっていく。
ラインバレルは最後の一仕事だと言わんばかりに、その柄を握りなおすと、真っ直ぐに魔物に向かった。
作品名:黒竜と彼のご主人さま 作家名:青海