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四神五獣伝一話 1/2

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 和泉が、群衆に向かって敵愾心剥き出しの口調で言い放った。二人を見ていた人集りは、彼女の一声で蜘蛛の子が散るように、二人から逃げるように離れていった。
「まぁ、二人を凝視していた群衆が悪いけど、メイドとお嬢様な上あの格好は目立つなと言う方が難しいわね。」
 そのお嬢様とメイドに聞こえないように、小声で呟いたのはリナ従姉さんだった。俺も、彼女の意見と同意だ。

「ありがとうございましたライヤさん。おかげで迷子にならずにすみました。」
「私の方からもお礼を言わせてください。お嬢様を助けて下さってありがとうございました。」
 金髪のお嬢様の迷子の件が解決し、モールの外で和泉と連れのメイドのスイさんに深々と頭を下げられた。改めて、こんなに丁寧にお礼を言われると照れくさいな。
「気にしないで。困った時はお互い様だよ。」
「それでは、わたくし達はこれで。」
「うん、またね和泉。後で、私が暮らしている場所をメールで贈るから。」
 俺達が来た道とは、逆の方へ歩き出した幼馴染みにかがりは、元気良く手を振って別れを告げた。
作品名:四神五獣伝一話 1/2 作家名:トシベー