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戯曲 フォビア

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第二幕

  (娼館の窓からリアーヌとアニタ外を伺う。下手より薬師の姿をしたジギ登場)

リアーヌ
 あら、あれは先生じゃあなくって?
アニタ
 まぁ、本当。先生! ジギ先生!
ジギ
 (二人に気付き)ああ、リアーヌにアニタではありませんか。
リアーヌ
 先生! あの女の死因って分かりましたの?
ジギ
 ええ、分かりましたよ。
アニタ
 それじゃあ、犯人も? 早く解決して頂きたいわ、こんな事件。
 いつまでたっても客が取れないんですもの!
ジギ
 死因は分かったのですがね、犯人の特定は難しいと思いますよ。
リアーヌ
 まぁ、どういう事ですの?
ジギ
 (顎に手を当てながら)彼女はね、毒殺されていたんですが……。
アニタ
 まぁ! それじゃあ、あの女が最後に取った客が犯人ですの?
ジギ
 いや、これがそう簡単な話でも無いのです。
 なぜなら彼女の体内から検出された毒物の名は『カンタレラ』。
リアーヌ
 カンタレラァ?何ですの、それ。
ジギ
 カンタレラとはね、その効果時間や効能を自在に操作できる毒薬です。
 つまり一瞬で殺す事も出来れば、毎日少しずつ含ませて一年後に殺す事も
 出来る……。
アニタ
 それじゃあ、犯人は……。
ジギ
 そう直近の者が犯人とは限らないんですよ。
 毎日毎日会いながら少しずつ含ませたのかもしれない。
リアーヌ
 それじゃあ、もしかして……。
アニタ
 馬鹿ね! 滅多な事を言うものじゃあないわ!
リアーヌ
 でも、あの女に毎日のように会っていたのは伯しゃ――
ジギ
 待ちなさい。長い時をかけて殺す事も出来ると言っているだけですよ。
 それにその条件ならば君たちだって同じではありませんか?
 毎日彼女と同じ館にいたのですから。
リアーヌ
 (さっと青ざめて)わ……私達を疑っているんですの?
アニタ
 (同じく青ざめながら)ひどいわ! 先生、そんな言い方あんまりだわ!
ジギ
 (笑ながら)単なる可能性の話ですよ。
リアーヌ
 可能性……。
 可能性の話でしたら先生、そのカンタレラは誰にでも手に入れられますの?
ジギ
 いえ、調合にとても神経を使う毒薬です。
作品名:戯曲 フォビア 作家名:有馬音文