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南の島の星降りて

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新宿の夜


週の前半は稲村ガ崎で後半は新宿でバイトにあけくれていた。
午後の3時から夜の11時半まで仕事だった。
OSADAは喫茶店でも、珈琲しかださない店で朝は7時から開いていた。
俺はもっぱら、遅番組で、遅番のヘッドはホモの山崎さんで、たぶん歳は35歳ぐらいだろうか・・だって誰も本当の歳は知らなかったから。

「今日はホール担当ね、あんた」
いつもの、あやしい口調だった。最初はめっちゃ丁寧な人だと思ってたけどそれは間違いだって気づいていた。
「はぃ。頑張ります」
「頑張んなくていいわよ。笑顔でねぇ」
気をつけないと、つられそうでヤバイ。

日曜なので、いつも込んでるけど、いつにもましてって感じだった。
面接の時には全然この店のことを知らなかったんだけど、この辺ではなぜかとっても有名で、人気の店だった。それも、従業員は男ばっかりでものすごく躾が厳しかった。仕事が厳しいんじゃなくて「躾」だった。

「なんか今日、すごく混んでないですか?」
1番仲のいい横浜生まれの浩太さんに聞いてみた。
時刻はもう夜の8時なのに忙しかった
「そうかぁ。こんなもんじゃないかぁ。それより、休憩はいっていいや。俺次にすっから」
「はぃ、ではお先に頂きます」
みんなに聞こえるように言った。今日は俺を入れて全員で7人だった。
「ごゆっくりどうぞ」
一斉に、答えた。慣れたけど1番下っ端の俺としてはゆっくりなんかしてられるかよ・・だった。
コーヒーを一杯もらって奥の事務所にはいると、ホモの山崎さんが事務仕事をしているようだった。
「すいません。邪魔します」
「いいわよぉ。なんかあんた、前にもまして顔黒いわねぇ」
色白が好きなのは知っていたので笑いを抑えるのに必死になった。
ドアを叩く音が聞こえて浩太さんが顔を出した
「サンボ!お客さん!お前に、なんか顔黒い綺麗な子だぞ。柏倉さんいますか?っ言うから誰かと思ったけどお前だよな・・」
「サンボって呼ぶからですよ、柏倉ですから名前、俺」
「ま、いいじゃん。サンボで。いいから早くしろって。カウンターに座らせたから・・」
誰だろうと思った。

びっくりした。夏樹がカウンターに座ってこっちを見ていた。
「なにぃ、なんか俺に用?」
「ここ終わるの何時なの?」
「11時50分ごろには着替えてでれるけど・・」
「じゃ、このお店の前で待ってるね。ちょっと付き合ってよ」
「それまでどうするのよ夏樹は・・」
「私もこれからバイトだから、平気」
これからって・・もう夜の8時なんだけどって思っていた。
「終電って12時50分だぞ。知ってる?」
「朝まで飲もうよ。5時に電車動くもん」
「ま、いいけど、金あんまりないぞ。俺」
「今日は誘ったから、居酒屋だけどおごるわよ」
金よりこれからバイトってなんのバイトだ・・・めっちゃ悩んだ。
「じゃ、後でね。あ、なんでサンボなの・劉って?」
「うーん、あのね、チビクロサンボよ」
夏樹は笑っていた。
「チビって、感じじゃないけど・・」
「ほら、見てみろ、俺以外のひと・・みんな身長が180よ。俺だけが173cmよ」
「わ、本当だ。なんで・・・」
「たぶん。趣味だと思う」
「誰の?」
「ちょっと、今は・・・後で話すわ」
「なんかおかしいね・・じゃ待ってるね」
コーヒー代はいいよって、バイトの先輩が顔で合図してくれた。

それから閉店まで、背のでかい先輩たちはみんなで俺の頭をなでては「サンボもやるねぇえ」って何回も繰り返した。
浩太さんは、「いいホテル紹介します」ってずっとうるさかった。

とにかく、ここの従業員は、全員背がでかくて、いい男ばかりだった。
一人一人にファンまでいたから笑える。
とにかく、誰かの趣味だった。

作品名:南の島の星降りて 作家名:森脇劉生