くれなずむ<世知辛いんです>
かみしめればえんじゃぁ、アホー!
バカタレーーー!」
と、一挙に捲し立てて、クレナはフーフーと、
鼻息を荒くした。
更に気まずい空気が、二人の間に流れた。
「…まぁ、その…。ごめん」
「…いや、私も言い過ぎたよ。…うん、ごめん」
「帰ろうか…」
「うん、帰ろう…」
家に帰るまでの間、二人は終始無言のままであった。
ちなみに晩ご飯は、デミグラスソースハンバーグに
ポテトサラダ、ほうれん草のお浸しに、
豆腐とワカメの味噌汁だった。
幸せそうに、食事を摂るクレナの食べっぷりは、
見ていてどこか微笑ましかった。
当たり前のように、ご飯にありつけるって、
本当に素晴らしい。
そんな風に、思えた日だった。
作品名:くれなずむ<世知辛いんです> 作家名:ミムロ コトナリ