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陰陽戦記TAKERU 前編

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終章


 それからの事を少しだけ話そう、戦いが終わって夏休みも終わった。
あれから鬼の事件は起こらなくなり何事も無かったかのように当たり前の時間が過ぎて行った。
 ちなみに学が病院から盗んできた死体は朱雀の力で別の場所に移動し、駅を3つほど越えた公衆電話で警察に連絡した。
 桐生さんは戦いが終わると青龍を美和さんに返して大学がある群馬に帰って行った。冬休みにはまた帰って来るそうだ。
拓朗も玄武を返して受験勉強を始めた。来年ウチの高校を受けるらしい、結構頭良いし真面目だから大丈夫だろう。
香穂ちゃんは神社で巫女を始めた。相変わらず白虎に振り回されてるらしいけど元気が一番だった。
学は全ての事を反省して罪を償う為に壊れたマンションから別のアパートに引越し、ボランティアのバイトを始めたらしい、そして……
 そして二学期開始の日、俺は制服に着替えて靴を履くと玄関に手をかけた。すると……
「武様、待ってください。」
 振り向くとそこにはエプロン姿の美和さんがいた。
実は加奈葉が学と同じバイトを始めたのであまり家に来れなくなった。
そこで美和さんに料理や掃除機に洗濯機の使い方を覚えさせて、今では家事全てを任せても平気になった。
勿論昼間は神社で巫女さんのバイトを続けている。
「忘れ物ですよ。」
 美和さんが差し出したのは彼女お手製の手作り弁当だった。俺は苦笑しながら受け取った。
美和さんの愛情が籠った弁当を忘れたら罰が当たるぜ。
「ごめんごめん、ありがとう美和さん。」
 俺はそれを受け取る。
「行ってらっしゃい、武様」
「うん、行ってきます」
 俺は言葉を交わして表に出た。
もう9月だっつーのに夏の日差しが残る明るい外へ飛び出した。
 雲1つない晴天の空を見上げるとこれからの事を考えた。
美和さんと一緒の生活、この生活がどれだけ続くか分からない、でも今だけはこの時間だけを大事にしようと思った。

         
     陰陽戦記TAKERU前編・完