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陰陽戦記TAKERU 前編

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 武は上段に構えると光の刃に全法力を注ぎ込み空に届くかと思うくらい巨大化させて暗黒天帝の頭上に振り下ろした。
『ぎゃあああああああっ!』
 唐竹から下を真っ二つに切り裂かれた暗黒天帝は断末魔を上げると自分を切り裂いた武を忌々しそうに見下ろした。
『ま、またやられたのか? 我が…… こんな小僧に…… 二度も…… ぐおおおおおっ!』
 暗黒天帝の体が左右に分かれると大爆発、時の流れを越えた光と闇の戦いは決着を迎えたのだった。

 戦いはようやく終わった。
 俺から麒麟や他の聖獣の力がなくなると鬼斬り丸や宝玉に戻った。
「武様―っ!」
 そこへ美和さん達がやって来た。
「やりましたね、武先輩!」
「暗黒天帝を倒したね!」
「ああ」
 俺は香穂ちゃんの頭に手を乗せる。
 美和さんが俺の前に出た。
「ん、美和さん?」
 すると美和さんは俺をジッと見つめていた。ああは言ったけどやっぱり帰りたい気持ちは有るのかなぁ?
「武様…… 私……」
 だが少し美和さんの様子がおかしかった。何処かもどかしくてソワソワしていた。
『美和、どうした?』
「えっ? 玄武?」
『もしかして武が彼に似てるからですか?』 
「せ、青龍っ!」
『少々不安だけど、少年君なら大丈夫だろ。』
「白虎まで!」
『私は美和が幸せならそれで構わないわよ。』
「朱雀―っ!」
 美和さんは慌ててた。
 俺は麒麟に尋ねる。
「何かあったのかな?」
『さぁ?』
「でもまぁ、とりあえずは……」
 暗黒天帝を倒してする事、それは……

 東の空が明るくなり始め、夜が明けようとしていた。
 研究所では学と加奈葉が自分達の町の方を見ていた。
「武……」
「あっ!」
 するとその時だ。
 突然目の前が眩しく輝くと目の前に5人の少年少女が現れた。無論それは2人が待つべき者達だった。

 俺達は加奈葉達の前に帰ってきた。
 目の前にいきなりいるもんだからビックリしたぜ。
「な、何やってんだよ?」
「な、何って……」
「武」
 すると学が尋ねて来る、勿論暗黒天帝の事だった。
「ああ、勿論だ」
 俺は握った右拳に親指を立てる。
「それじゃあ勝ったのね? やったぁ!」
 加奈葉は美和さんに抱きついた。
 羨ましいと思っていると東の空から太陽が顔を出した。
 戦いが終わり平和になった世界に登る奇麗な太陽を見ていると美和さんが俺の手を握ってきた。
 太陽の光に照らされる美和さんの横顔を見るとその小さな手を握り返した。