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ツカノアラシ@万恒河沙
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異人館

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美少女と美青年。光沢のある黒い帯を締め白い着物を着たコッペリアと、黒い裾の長い中国服のコッペリウスが経営する少女屋は、シノワズリ一風の外観の悪夢のように美しい娼館。コッペリアとはコッペリウスが作った人形。麗しきコッペリアの説明によれば、普通の楼館に比べるとかなり毛色の変わった娼館とのこと。禿のくらいの年頃の少女達が相手をするらしいが、その少女たちは特殊な育てられ方をしたらしい因みに、彼女たちは花魁も顔負けな教養を仕込まれているという話である。秘密の花園と言うところであろうか。少女屋では一部屋毎、趣を凝らした内装と、しどけない少女達が待ち受けていると言う話である。中には少女の格好をした少年もいるらしい。美しき人形の館。コッペリアが古今東西から集めた少女達。どこで、そんな少女達を用意しているのかは謎。時折、『卵屋』から棺のような黒い箱が運ばれてくるそうだが、青白い顔をした屍人のような店員達に尋ねても何も返事はない。そういえば、コッペリウスによると、少女達全員に、纏足を施しているとのことである。麗しき囚われの少女達。
<鳥篭娘>
鉄製の中国風の鳥篭の中に寝台が置かれている。鳥篭の部屋の主は金糸雀と呼ばれる少女。黄色のチャイナドレスに、美しい声で歌いまする。ただし、少女は歌いはすれど、言葉を喋る事はない。
<真珠姫>
青一面の部屋の真申には、真珠貝を模った寝台と小さな西洋風のバスタブ。バスタブの中でゆらゆらしていますは、青いきらきら光る尾びれをつけた人魚姫。こちらも金糸雀に負けず劣らず、美しい歌で聞くものを惑わせる。
<十二夜>
暗闇のカフェに、男装した少女と女装をした少年の双子が座っている。少女は黒いベルベットの三つ揃えに真紅のネクタイ。少年は、鹿鳴館の舞踏会に出るようなバッスルスタイル。蓄音機から流れる音楽に合わせて踊ります。だんす、だんす。
<伽倶耶>
御簾の奥には、十二単を着た少女がひとり。注文の多い少女。天井には、フラスコ画のごとく棚引く雲と赤い満月がゆらめき、部屋中に白い兎の人形と竹林。少女は扇の影に顔を隠し、くすくすと笑う。
<死女の恋>
オフェーリアと呼ばれる少女が船を模した花を散らした寝台に横たわっている。アスラバスターのような肌にふっさりとした睦。白い薄物に、黄色い水仙のブーケを持つ先細りした手。死女と言うだけあって、その体は恐ろしいくらいに冷たい。
作品名:異人館 作家名:ツカノアラシ@万恒河沙