【勾玉遊戯】one of A pair
「そりゃあ当たり前だ。嫌われるために苛めてんだから」
「……歪んだ兄妹愛ですよそれは」
「ああ歪んでるとも。わかりきったこと言うなよ」
そう言いながら、柚真人の口許は笑っている。優麻には、それが自嘲――否、自虐的にさえ見えることがあるのだが、それをこの、歳下の友人に言ったことはない。
司――と云うのは、柚真人の、ひとつ歳下の妹である。
「今日は? 司さんは?」
「さあ。部屋にいるんじゃないの?」
実に素っ気ない。はへふ、と気の抜けたような奇妙な発音のため息をつき優麻は踵を返した。
「それより柚真人君、晩御飯にしましょう」
「お前……。また、メシ食いに来たのか?」
作品名:【勾玉遊戯】one of A pair 作家名:さかきち@万恒河沙