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さかきち@万恒河沙
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novelistID. 1404
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【勾玉遊戯】one of A pair

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 けれども、その淋しげな瞳の色は、いま薄闇の中にたたずむ彼女のそれと変わるところがない。いったい何時から、彼女はこんな瞳をしていたのだろう。
 泣きそうだな、と柚真人は思った。
「貴方が――殺したんだ……」
 彼女は、答えなかった。
「どこでなくしたのか……忘れてしまいましたか?」
 彼女は、何も言わない。
 柚真人は目を伏せると、もう彼女の顔も見ないで歩き出した。蓋し、真実を知った柚真人にとって、彼女のそのまなざしは、凶器だったからである。
 影絵のような社の向こうの西の空には、葡萄色の雲が広がっている。明日は、雨になるかもしれない。
「……私。……あれがないと。……あれがないと……」
 背後で、細い声がした。
 立ち止まる。
「――大丈夫。おれが……貴女の願いに免じて、秘密を守りましょう」
 柚真人は、振り返らずに――そう告げた。
「……約束しますよ」