カンカンのくるくる
1.
薄暗いテントの中、黒い布が敷かれたテーブルの上に、カードが手早く広げられる。テーブルを挟んでいるのは二人の人間。ワタクシはその二人を、頭上から見下ろしている。入り口から見て奥側に座った年老いた女は、7枚目のカードをめくったとき、その顔をわずかに歪ませた。
「どう、ですか……?」
大きな瞳を瞬かせ、入り口側に座った長い髪の女が口を開いた。
化粧を厚く塗り重ねているが、見る者が見れば、その目元口元に残るあどけなさを見て取れるだろう。彼女はエミィランミラミィエル。ワタクシが仕える貴族家の、お嬢様である。
「地球を知っておいでかえ?」老婆が口を開く。
「ええ、もちろん」お嬢様は即答された。
「そこに、おる」
「えっ」
ワタクシは、お嬢様のその驚きの声に、喜びが混じっているのを感じとった。
「なんという……」
「喋るな、鳥」
思わずこぼれたつぶやきを占い師に聞き咎められ、注意されるが、それよりも胸騒ぎがおさまらない。ワタクシは、はやる気持ちを抑えるために、くちばしで自らの胸元を掻いた。
薄暗いテントの中、黒い布が敷かれたテーブルの上に、カードが手早く広げられる。テーブルを挟んでいるのは二人の人間。ワタクシはその二人を、頭上から見下ろしている。入り口から見て奥側に座った年老いた女は、7枚目のカードをめくったとき、その顔をわずかに歪ませた。
「どう、ですか……?」
大きな瞳を瞬かせ、入り口側に座った長い髪の女が口を開いた。
化粧を厚く塗り重ねているが、見る者が見れば、その目元口元に残るあどけなさを見て取れるだろう。彼女はエミィランミラミィエル。ワタクシが仕える貴族家の、お嬢様である。
「地球を知っておいでかえ?」老婆が口を開く。
「ええ、もちろん」お嬢様は即答された。
「そこに、おる」
「えっ」
ワタクシは、お嬢様のその驚きの声に、喜びが混じっているのを感じとった。
「なんという……」
「喋るな、鳥」
思わずこぼれたつぶやきを占い師に聞き咎められ、注意されるが、それよりも胸騒ぎがおさまらない。ワタクシは、はやる気持ちを抑えるために、くちばしで自らの胸元を掻いた。