妖怪のいぶき
第六夜「雨粒」
貴方に初めて会ったのはこんな土砂降りの雨の日だったよね。
私が軒下でずぶ濡れになりながら震えていた。
そんな時、そっと傘を差し出し優しい言葉をかけてくれた。
私は貴方の優しさに触れ、心温まり…
そして、貴方と暮らし始めた。
温かなご飯に暖かなベッド。
私達は1日1日を精一杯生きていたよね。
幸福な日々がずっと続くと想っていたよ。
けれど…いつの間にか貴方の匂いが変わっていた。
出会った頃は甘い金木犀の香りが心地良くて…
何時も貴方に甘えていたっけ。
それなのに…ごめんね、ごめんね。
気付くのが遅かったね。
貴方の口許から血が吐き出された時、どうしていいのか解らないまま…
思わずその血を舐め…拭った…
貴方は笑ってくれたね。
何時ものように…
でも、貴方はその場に倒れ冷たくなった。
私はそんな貴方の傍らで見つめ続けるしか出来なかった。
何時起きてくれるの?
何時笑いかけてくれるの?
骨となった貴方…貴方の血、肉を喰らい尽くした猫の私
私は貴方の理想の女性になれたのかな。
窓からほんの僅かな陽射し。
雨粒の陰影が貴方の白いモノをゆり起しているかのよう。
今回の妖怪:化け猫、長い年月生きた猫が人間に変化したと云われる。また、主人を喰い殺した猫が化け猫になるともされる。
けど、槐はやっぱり猫が好き。
なお、今回は予定を変更してお送りしました。
今後も予定は変わると思います。
すみません。ペコm(_ _;m)三(m;_ _)mペコ