打ち上げ花火
翌日、私がいつものように自分の部屋でごろごろしていると、私宛に電話がかかってきた。はい、もしもしと出ると、相手はみつこのお母さんだった。
みつこのお母さんは、みつこがくるったの、みつこが、みつこがおかしくなった、とひたすら泣きじゃくっていた。とにかくみつこが尋常で無い状態であることが分かった私は、すぐに行きます、と言って電話を切り、みつこの家に走った。
みつこ、と叫びながらみつこの部屋の扉を開けると、みつこの部屋はぐちゃぐちゃになっていた。机は倒れ、窓ガラスは割れ、紙は破れ、壁は穴があき……とにかく何もかもが粉々だった。その部屋の真ん中で、みつこは血まみれで倒れていた。みつこの首にはロープがあり、おもいっきり絞めた跡が残っていた。
私は何が起こっているのか分からず、ただ呆然とその光景を見つめていた。ふわふわとした頭の中に浮かんだのは、光の無い目で笑うみつこの顔と、昨日見た、遠くで打ちあがる花火だった。それは破裂し、少しの時間を置いて、どん、ばぱぱぱ……と音をさせた。