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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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きみの歌をききたい

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 少女たちは笑い、手のひらにのせた花びらをふっと吹いた。
「雪って言えば……。涼子。雪が降ったら、好きな人に告白するって言ってたね」
「うん。死ぬ少し前だったね……。でも、去年は降らなかった。あんなに待っていたのに」
「だれだったのかしら。病院の窓からいつも見てた人って……」
 振り返ると、白い建物が見える。

 やがて、公園にはひとり、ぼくが残った。
 雪のように降りしきる花びらは、少女の淡い想いを抱いて、海に散っていく。
 かすかに、少女の声が聞こえたような気がして、目を閉じた。
 ――冬の空はまっ青。一年中で一番きれいよ――
 まぶたの裏に、初めてあった日のすがすがしい笑顔がよみがえる。
 もう一度ききたい。君の歌を……。