私のやんごとなき王子様 理事長編
「明日も僕の手伝いをしてもらいたいんだけれど……お願い出来るかな?」
「えっ?」
「駄目かな? ご存知の通り、秘書は明後日にならないと来ないんでね。少し不便をしているんだ。真壁先生には僕から言っておくから、君さえよければ手伝って欲しいのだけど」
そんな、理事長にお願いされるだなんて、どうしよう――だけどとても光栄な事よね。
私はきゅっと握られた手に力を込めて大きく頷いた。
「私でよければ、お手伝いさせてください!」
「本当かい? 嬉しいな。それではまた明日、よろしく」
「はい、よろしくお願いします!」
今度こそ部屋を出て行った理事長は、廊下の向こうへ消える前に私に手を振ってくれた。
どうしよう、私、ものすごくドキドキしてる……もしかしてこれって……?
作品名:私のやんごとなき王子様 理事長編 作家名:有馬音文