私のやんごとなき王子様 理事長編
その動作に私はドキリとし、窓の外から見える海へ視線を泳がせて答えた。
「そ、そうですね。理事長は昨日からほとんど寝ずにお仕事されてるようですし、ここは少し時間を取って各担当者達の様子を見て気分転換するのはどうですか?」
実は昨日からずっと理事長は演劇祭の準備に勤しむ生徒達の様子が見たいとおっしゃっていたのだ。折角理事長から気分転換の言葉が出たから、ここぞとばかりに提案してみる。
「なるほど、それはいいね。では小日向さんに案内してもらおうかな?」
「はい! お任せ下さい」
私は書類をまとめ、元気よく立ち上がった。
作品名:私のやんごとなき王子様 理事長編 作家名:有馬音文