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私のやんごとなき王子様 鬼頭編

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 わわっ! 近い近い!

 私が驚いているとニヤリと笑い、私の耳に口を寄せてその低い声で囁く。
 吐息がかかるほどの至近距離に私は動揺した。

「お前は俺の事をどう思ってる?」

 心臓が止まりそうなくらい私は緊張している。案外男らしい鬼頭さんのその体に包まれて、頭が痺れそうなほどの囁き声にぎゅっと目をつぶった。

「す……好きです―――」
「―――俺も同じだ……これで満足か?」

 ふと体を離して私を見下ろすと、鬼頭さんは私のおでこにそっと唇を重ねた。

 ひっ!? 

 どうしてこう、毎回毎回人を驚かせるのよ!!

 ―――なんて言えるはずも無く、衝撃でぼんやりしている私を他所に、何事も無かったようにポケットから本を取り出して読み始める鬼頭さん。

 絶対に私の顔は真っ赤だろう。
 思っていた言葉は本人の口から聞けなかったけど、いいのかな? 静さんって呼んでも。
 柔らかな唇の感触の残るおでこをそっと撫で、私はため息と同時に車窓から外へ視線を移した。
 まだまだ私は子どもで、手のひらの上で踊らされてるけど、いつかきっと言わせてみせる。

「お前が好きだ」

 って。 
 少しひねくれてるけど、本当は寂しがりやで恥ずかしがりやなあなたを愛してます。これからも。

 そしてあなたも私を愛してくださいね。ずっと…… 





私のやんごとなき王子様 ――鬼頭編――   了