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私のやんごとなき王子様 鬼頭編

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後日談


 季節は夏。

 早いものであの感動の演劇祭から1年が経つ。私は星越学園を卒業し、大学へと進学していた。

「見てみて、あの人すんごい美形じゃない?」
「うわっ本当、素敵!」
「芸能人かな?」

 そんな女性達の声に吊られて、私は顔を上げた。
 前から歩いて来る男性の姿に、思わず笑顔になる。

「鬼頭さん」
「行くぞ」
「あ、はい」

 目の前に来て一言そう言うと、鬼頭静はさっさと改札口へと歩き出した。
 鬼頭さんを見て溜息を漏らしていた女性達は私達を見てヒソヒソ話。こんなことにはもう慣れっこだ。だって鬼頭さんは本当にカッコいいし、私みたいな子どもじゃつり合う訳が無い。

 でも、誰が何と言おうと私の彼氏である事には違いないんだもん!

 ――――って、あれ? そう言えば、私達って付き合ってる……のよね?

 演劇祭が終わって保健室に呼び出された私は、半ば強制的に鬼頭さんの愛情不足を補う役目を与えられた。
 もちろん私は鬼頭さんが好きだし、ずっと側にいられるならとお受けしたのだけど、その時から一度も「好き」だとか「付き合って欲しい」という言葉を聞いていない。

 ふと不安がよぎる。