私のやんごとなき王子様 鬼頭編
気付かれないようにこっそり微笑むと、私は残りの材料をどんどん切った。
こうして鬼頭先生と並んで包丁持ってるっていうのがあり得ないシチュエーションで、昨日の海に引き続き結構楽しい思い出になったな。なんてしんみり思った。
夕日を見ながら浜辺で食べるバーベキューはとっても美味しかった。
鬼頭先生が切った不格好な人参やタマネギを食べながら、私は少し離れた岩に座って野菜を食べる鬼頭先生を見た。
隣りには水原さんがいて、何やら楽しげに話し込んでいる。
ちょっぴり寂しかったけど、目の前で真壁先生が他の生徒にバーベキューについて熱く語っているのがおかしかったから寂しさは紛れた。
水原さんは知ってるのかな。鬼頭先生がすごく包丁扱うのが下手だって事。
作品名:私のやんごとなき王子様 鬼頭編 作家名:有馬音文