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私のやんごとなき王子様 鬼頭編

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5日目


 理事長所有の島に到着した私達は、慌ただしい初日をなんとか終了した。


 そして翌日―――

 起床したばかりの私には、すぐさま仕事が待ってる。
 昨日はなんだかんだで結構遅くまで雑用をしていて、今日も早くから生徒指導担当の先生方とミーティング。
 今日は芸能関係の取材陣が午後に来ることになっていてその打ち合わせもあったんだけど、私は何故か医務室で具合の悪くなった生徒の相手をしていた。

「じゃあこれ、熱を計って下さい」
「はい……」

 1年生の女の子は少し息苦しそうに私から体温計を受け取って脇に挟んだ。

「吐き気とかはない?」
「はい」
「起きた時から調子悪かった?」
「昨日の夜にちょっと熱っぽいかな、と思ったんですけど……」
「そう。きついね」

 無理したのかな? でも分かるな、その気持ち。私も1年の時の合宿は、例え倒れてでも仕事をやり通さなきゃ! なんて意気込んでたもんなあ。
 そこで体温計が音を鳴らしたので確認すると、37.8度だった。

「ちょっと熱があるみたい。お薬飲んでお部屋で休んでた方がいいね……って、鬼頭先生がいないからお薬が出せないのよね」

 もう、どこ行ったのよ!?

「先生が戻るまでここで寝てて。ちょっと探して来るから」
「あ……はい」

 女の子を奥のベッドに寝かせると、私は鬼頭先生を探すために医務室を出た。

 ――探すって言っても、どこ探せばいいのよ!
 廊下に出て慌ただしく行き来する生徒や先生の姿を見て、私はがくりと肩を落とした。

「そういえば朝のミーティングの時もいなかったな」

 その場に立っていても仕方ないので取りあえず歩き出す。
 鬼頭先生が行きそうな場所。鬼頭先生が行きそうな場所……
 口の中でそう呟きながら、私が思いついたのは外だった。何故外なのかは分からないけど、なんとなく静かな所じゃないかと思っただけ。

 エントランスを抜けて玄関から出ると、海の匂いが鼻孔をかすめる。ほんの少し下った先は真っ白いビーチが湾に沿って広がっていて、青い海と波間に見える太陽の反射光が絶妙なコントラストを描いていた。


 海じゃないな。