私のやんごとなき王子様 真壁編
今日は合宿の実質最終日。明日にはまたフェリーに乗って学園へと戻る事になっている。
私達生徒指導は実行委員や学園本部との連絡で相変わらず慌ただしい一日を過ごした。
夕方になり仕事も一段落した頃、医務室の利用者名簿をチェックしていた私の元へ真壁先生がやってきた。
「おうお疲れ」
「お疲れ様です」
そう言って缶コーヒーを手渡してくれる。先生ってコーヒー好きなんだよね。
「そう言えば花火大会があるらしいな」
唐突にそう言った先生に、私は一瞬ドキリとする。昼にさなぎと話していた事を思い出したのだ。
「らしいですね。理事長が企画したって聞きましたけど」
「らしいな。せっかく近くで見れるんだし、見に行くか?」
まさか誘われるとは思っていなかった私は、驚きつつも笑顔で頷いた。
「はい!」
「お、いい返事だな。よし! じゃあどこかいい場所を探しといてやるから、飯食ったら玄関前に集合な」
「分かりました」
なんだか社会見学に行くみたいなノリだけど、先生もなんだか嬉しそうだし、まあいっか。
作品名:私のやんごとなき王子様 真壁編 作家名:有馬音文