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私のやんごとなき王子様 真壁編

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「よし、終わったぞ。お前は?」
「あっ、はい。終わりました」

 そう言って顔を上げた先生は、いつもの元気で明るい表情に戻っていた。
 私はさっきの先生の言葉が気になったけど、聞いてはいけない気がして何も言えなかった。

「やっべえ、忘れてた!」

 立ち上がった先生が急にペチンと自分のおでこを叩いた。

「どうしたんですか?」
「いやあ、理事長がもうすぐ到着するのを忘れてた」
「ええっ?!」

 そんな大事なコト、どうして忘れるんですか!?

 私が一人で慌てていると、先生はキョロキョロと辺りを見回した。
 先生背が高いから遠くまで見えるんだろうなあ。根拠はないけど視力もすっごい良さそうだし。

「う〜ん……あ、小日向。お前理事長を迎えに船着場まで行ってくれるか?」
「わ、私ですか?」

 なんで私!? 理事長なんて話した事もないのに!
 突然話しを降られて私は焦った。

「あ〜、でもお前も仕事があるもんな。他のヤツに頼むか……鬼頭辺りがどうせ仕事してないだろうから、あいつに頼むか」

 私が返事を出来ずにいたから、真壁先生はちょっぴり嫌そうに視線を医務室のある方の廊下の奥へとやった。

「でも鬼頭先生にお願いしたら、あとで何を請求されるか分かりませんよ?」

 わ、つい声を出して本音言っちゃった!
 言ってしまって後悔したけど、真壁先生は笑った。

「あっはは! 確かにな! あいつちゃっかりしてるもんなあ」

 ちゃっかりじゃなくて自分勝手ですよ! でもどうしよう、理事長迎えに行ってあげようかな、でも真壁先生のお手伝いもしないといけないし……



A 理事長を迎えに行く 【著者作品一覧から「理事長編」へとお進みください】
B このまま真壁先生を手伝う【このまま続きをお楽しみください】