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彼女のトモダチ

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「うん、ごめん。なんか、何も浮かばない……」
「じゃあ、電話とかで呼び出す?」
「うーん……」
「……とにかく、ここ出ようか」
「うん……」
 緊張のし過ぎで何も考えられなくなった美波に、千笑は仕方なく野球場から連れ出した。
 千笑にとっては、かつて付き合っていた彼氏に告白しようという美波だが、応援したいという気持ちしかない。それは美波が親友だからということはもちろん、時間が解決した自分の心のけじめがきちんと出来たからだろう。
「……ごめん。今日は無理かも……」
 外で待っている間、緊張で落ち着かない美波が、ついにギブアップ宣言をした。
「なに言ってんの。告白なんて、勢いがなくちゃ駄目だよ。それに、帰ったらまた後悔するよ?」
「うん、でも……」
「お疲れ」
 その時、幸か不幸か、一足先に田村だけが出てきてしまった。

作品名:彼女のトモダチ 作家名:あいる.華音