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センチメンタル

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センチメンタル……待ち人来たらず?


「皆忙しそうだぁ」
せわしなく歩く人の群に何となく呟いた言葉は無情にも慌ただしい人々の喧噪にかき消される。
それにしても、本当に
「…皆一人みたいだ」
そこを歩く人は皆一人で己のペースを保ち、思い思いの方向へと進む。迷走しているようにも見えるなぁ、なんてのんきに考えていたが、ふと自分も今一人でいるのだと思い出し、現実に笑えなくなった。
自分は今ここで立ち止まっているけれど、一人なのだ。違いは歩を進めているかいないか、ただそれだけ。
あぁ、なんて滑稽なのだろう。
「ふぅ……」
ただでさえ重い溜め息も、今日は一段と重くて暗い。







まぁ自分は人待ちをしているのだから一人で当然かと思い至ったのは現れない待ち人に苛立ちを感じ始めた、それから20分後のこと。

作品名:センチメンタル 作家名:きじま