私のやんごとなき王子様 三島編
「ホント?」
「ああ、本当だ」
思わず聞き返した私に、答えてくれた三島君のその言葉が嬉しい。
だって、あんな風に無理やり海まで引っ張ってしまって、少しだけ迷惑だったのかな? なんて思ってたから。
「その……また……時間が取れたら……一緒に行ってもらえないだろうか?」
ためらいながらそう言葉を紡いだ三島君は、心なしか顔が赤らんでいるように見えた。
「もちろんだよ! 私も三島君とまた行きたいな!」
嬉しくて私は思わずはしゃぎぎみで返事をしてしまう。
だってあの三島君にこんな風に言って貰えるなんて思ってもみなかったから。
そんな風な事を喋っているうちに時間はあっという間に過ぎ、鶏肉にはいい感じに味が染み込んでいった。
その日の夕食のから揚げは、みんなに大好評だった。
かなり目分量で済ませてしまっていたから、少し不安ではあったのだけれど好評で良かった!
「小日向君、本当に美味しいよ。君に任せて良かった、有難う」
三島君の言葉が心に直接響いてくるようで、体中が温かくなっていくような心地がする。
それはとても幸せな感覚―――。
私の方こそ、有難う――三島君。
心の中でそっと呟いて、私はふっと微笑んだ。
作品名:私のやんごとなき王子様 三島編 作家名:有馬音文