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私のやんごとなき王子様 利根編

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「それに、小日向さんに出会って、こんなに真っ直ぐな人がいるんだって知ってすごく嬉しかった。俺のそばに寄って来る人は、誰でも華道の家元の息子である“利根華月”として接して来るのに、君は違った。玲を励ましたように、いつも言葉や笑顔で俺を励ましてくれた……気付いたら、こんなに好きになってた―――」

 また利根君の口から好きだと聞こえて、一瞬ピクリと体が反応する。
 確かに私は利根君の事を有名な家の息子だとか、そんな括りで見てなかったし接して来なかった。だって利根君は利根君なんだもの! だけど……

「私は駄目な人間だよ……利根君なんかとはつり合わない」

 涙が次々と零れ出した。

「……小日向さんは俺の事、嫌い?」

 ううん。そんなはずない! 

 両手で顔を覆い、首を左右に振った。
 今はもう、嬉しくて泣いている。
 こんな私を好きだと言ってくれる利根君が、私は大好きだ。

「でも……」
「でも、はいらないよ。もう泣かないで……そういう弱い所も好きだよ」

 利根君は私の肩にそっと手を置くと、優しく抱き寄せてくれた。

「うっ……利根君――――すき……好き」
「ありがとう、小日向さん。俺も好きだよ―――良かった、告白して……はは。こんなに嬉しいものなんだね。好きな子に好きだって言ってもらえる事って……知らなかった」

 私の頭のすぐ上で利根君の声が吐息と一緒に聞こえて来る。

 柔らかい利根君の香りと一緒にその温もりが伝わって、私はどんどん落ち着いていった。
 女の子より綺麗な利根君だけど、本当は男らしいって私は知ってる。
 私だけに見せてくれる、本当の利根君を、もっと知りたいから。

 利根華月という人間が、好きだから。 
 


 ありがとう、利根君。あなたと演劇祭が出来て良かった。
 あなたを好きになって、本当に良かった。