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私のやんごとなき王子様 利根編

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「うわあ……すごい人」

 私は出演者に衣装を着せ、準備を整えてからホールの客席へと回って来ていた。

 学園内に併設されているこの演劇場は、休日には海外のバレエ団や交響楽団なんかが来て使う事もある本格的な劇場だ。

 もちろん学園所有の物で、建設を進めたのは理事長らしい。
 客席は全部で1000席もあるなかなか大きな劇場だ。
 学園の父兄はもちろん一般のお客さんやマスコミも合わせると、その1000もある座席は立ち見が出る程満杯だった。

 こんなにたくさんの人が、私達が作り上げた劇を見るんだ。

 去年、一昨年と同じようにやって来たはずなのに、今年は緊張感が違った。それはやはりこれが高校生活最後だからかもしれない。

「小日向さん」

 声をかけられ振り向くと、利根君がすぐ隣りへとやって来た。

「良かった、探してたんだ」
「何かあったの?」

 自分の仕事は終わったはずだ。後は舞台が終わって片付けるまでここから劇を見物するつもりでいたのだ。

「何かあった時の為に舞台裏で俺と一緒に待機しておいて欲しいんだけど」
「え? それって……」

 他の人の仕事じゃないの? と言いかけてやめた。その他の人が水原さんだったからだ。

「うん、分かった」

 素直に従い、利根君と一緒に舞台裏へと急いだ。