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私のやんごとなき王子様 利根編

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 今日は実際に私達が作った衣装を着用しての通し稽古。朝から細かい補正をして、皆でドレスやらタキシードやらを前が見えない程抱えて演劇の練習をしている部屋を行ったり来たりと大変だった。

 大きな問題もなく、自分が作った衣装を着る子と修正が必要な箇所を話し合い、それを持ってミシンの前に戻って来ると、利根君が声を掛けて来た。

「なんとか間に合ったね」
「あ、うん。良かったよ、本当に」
「演劇担当の人達も喜んでくれてたね」
「うん!」

 衣装を持って行った時の皆の喜ぶ顔を思い出し、私も笑顔になった。

「ところで小日向さん。今日花火大会があるって知ってた?」
「聞いたよ。近くの島から上がるんでしょ?」
「そうらしいね。俺知らなくってさ、良かったら一緒に見に行かない?」
「えっ? わ、私?」

 驚く私に利根君は微笑んで頷いた。

「夕食の後で部屋まで迎えに行くから。それじゃあ、また後で」

 私の返事を待たずに手を振って去って行った利根君は、いつもと少し違う印象だった。昨日海岸で話した事を思い出す。

 繋いだ手の温もり。優しい利根君の微笑み。

 また今日も一緒に笑ってもいいのかな?