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私のやんごとなき王子様 利根編

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「美羽、私達はさ……そりゃ違うよ。芸能人でも無ければ良家の令嬢でもないし。なんてったって電車で現地集合だし?」

 そう言って少しだけおどけた表情を作るさなぎ。

「でもさ、そんな私達を――美羽を利根君は駅まで迎えに来てくれたじゃん?」
「うん……」

 さなぎは私の顔を見つめると、にっこりと笑った。

「それってさ、きっと同じ学校に通う、同じ生徒だと思ってるからだと思う。有名な華道の家元の子息だとかオジョーとか関係なくてさ、大切な――友達だって思ってくれてるんじゃないかな?」

 友達……?

「利根君はいっつも大人達に囲まれてるワケじゃない? しきたりとかそりゃーすごい厳しい家で育ってさ。だから、純粋に嬉しいんだと思うけどな。美羽が『普通』に接してくれる事が」
「嬉しい……?」
「うん、だって私だって嬉しいもん! 美羽が元気に笑って一緒に笑ったり怒ったり泣いたりしてくれるの、嬉しいもん」
「さなぎ……」
「違う事なんてないよ。ていうか、そりゃ違うんだけど、でもそうじゃないっていうか――あー、もうっ! 私ってば何言ってんの!? 自分でもワケ分んなくなってきた〜〜!」

 大げさに髪を振り乱して叫ぶさなぎを見て、私は思わずくすくすと笑ってしまう。

「そうそう! 美羽は笑ってんのが一番だよっ」

 さなぎはそう言って本当に優しく微笑んでくれた。

「ありがと……さなぎ。いつもゴメン」
「なーに言ってんの! なにかあったらいつでもさなぎお姉さまに相談なさい!」

 そう言って自分の胸を大きく叩くさなぎ。そんなさなぎと私はお互いに顔を見合せると、同時に噴き出した。
 ほがらかな笑いが部屋いっぱいに響き渡る。

「美羽、本当にさ――思いつめたらダメだかんね? 担当は違うけど、何かあったらいつでも私のトコに来なよ? 約束だよ?」
「うん」

 私は笑顔で頷いた。