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私のやんごとなき王子様 利根編

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「昨日は買い物手伝ってくれてありがとう。すごく助かったよ」

 乗船して担当ごとに集まった部屋の中、大量の荷物のチェックをしていると利根君が話しかけてきた。
 何だか私と利根君って一緒に数を数えるのが慣例化してない?

「ううん、こっちこそ! 素敵なお店教えてもらったし、危ない所も助けてもらったし。ありがとうございました」

 深々と頭を下げると、利根君が小さく笑った。
 もう、笑う仕草までいちいち優雅で綺麗なんだよな、利根君って。

「また一緒に買い物行ってくれないかな?」
「えっ? 私と?」
「小日向さんにお願いしてるんだから、もちろん君とだよ?」
「あ、そ、そうだよね。あはは……」

 嘘っ?! これってもしかしてデートのお誘い!?
 緊張する私を他所に、利根君はデザイン画とその担当者のチェックをしながら続けた。

「実はちょっと気になるお店があるんだけど、一人だと入りづらいんだ。だから小日向さんが一緒に来てくれると助かるんだけど」

 ああ、なんだ。そう言う事か。あはは、緊張しすぎちゃった。格好わる〜。

「あ、うん。もちろん! 私でよければいつでも行くよ!」
「本当に? 助かるよ。あ、そうだ。はいこれ」
「ん? これ?」

 利根君に手渡されたのは衣装などのデザイン画数点だった。

「小日向さんが担当する分だよ」
「えっ!? こんなにたくさん?」

 そう、想像以上に作る物が多くて、私は驚いたのだ。

「ごめん。1年生が思った以上に出来なさそうで、2、3年の仕事が少しずつ増えたんだ」
「そ、そうなんだ……」

 私の方が出来なかったらどうしよう……。
 そんな事を考えたら、どんどん考えが悪い方へと落ちて行った。
 そこでちょうどチェックも終わり休憩することになり、私は自分がチェックし終えた分をリーダーに渡すと、重い足取りで船室を出た。