私のやんごとなき王子様 利根編
3日目
「先生、遅くなりました!」
私は朝一番、教室に向かう前に職員室に立ち寄り、真壁先生に例の担当希望記入用紙を提出していた。
頭を下げて用紙を握った腕をずいと差し出した格好のままで止まる私に、
「おう、決めたか」
と、相変わらずの調子で笑ってそう言うと、先生は用紙を受け取った。次にそこに書かれた部署を見て頷く。
「……小道具か。うん、器用なお前にぴったりだな。しっかり頑張れよ」
そう言って私の頭をぽんぽんと叩いた。
「はい。失礼します!」
やっと清々しい気持ちが戻って来た。
職員室から出て行く足取りも軽い。今なら誰よりも早く100メートル走れそうってくらい軽かった。
*****
私が選んだのは利根君がいる小道具担当。だって、あんな風に利根君にお願いされて断れる女の子がいると思う? 私には無理。っていうか、正直利根君と一緒に仕事が出来るのはすっごく嬉しい。
去年委員の仕事を一緒にやってて思ったんだけど、本当によく気が利くし優しいし、一緒にいて癒されるのだ。
でも、本当に私で利根君の役に立てるのだろうか。
「ちょっと……いや、かなり心配かも」
そんな思いを抱えたまま、私は休み時間に利根君に報告するために利根君のクラスへと向かった。
だけど教室に利根君の姿はなくて、近くにいた女の子に尋ねると華道室にいると教えてくれた。
利根君は華道の修行で忙しいから部活には入ってないけど、たまに校長室なんかの花を生けているのだ。
「先生、遅くなりました!」
私は朝一番、教室に向かう前に職員室に立ち寄り、真壁先生に例の担当希望記入用紙を提出していた。
頭を下げて用紙を握った腕をずいと差し出した格好のままで止まる私に、
「おう、決めたか」
と、相変わらずの調子で笑ってそう言うと、先生は用紙を受け取った。次にそこに書かれた部署を見て頷く。
「……小道具か。うん、器用なお前にぴったりだな。しっかり頑張れよ」
そう言って私の頭をぽんぽんと叩いた。
「はい。失礼します!」
やっと清々しい気持ちが戻って来た。
職員室から出て行く足取りも軽い。今なら誰よりも早く100メートル走れそうってくらい軽かった。
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私が選んだのは利根君がいる小道具担当。だって、あんな風に利根君にお願いされて断れる女の子がいると思う? 私には無理。っていうか、正直利根君と一緒に仕事が出来るのはすっごく嬉しい。
去年委員の仕事を一緒にやってて思ったんだけど、本当によく気が利くし優しいし、一緒にいて癒されるのだ。
でも、本当に私で利根君の役に立てるのだろうか。
「ちょっと……いや、かなり心配かも」
そんな思いを抱えたまま、私は休み時間に利根君に報告するために利根君のクラスへと向かった。
だけど教室に利根君の姿はなくて、近くにいた女の子に尋ねると華道室にいると教えてくれた。
利根君は華道の修行で忙しいから部活には入ってないけど、たまに校長室なんかの花を生けているのだ。
作品名:私のやんごとなき王子様 利根編 作家名:有馬音文