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私のやんごとなき王子様 波江編

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 昼食の後、少し食休みを取ってから私達演劇担当は亜里沙様とその取り巻き数人を除く全員で海に来ていた。

 さすがプライベートビーチ。私達以外には誰もいない! なんて気持ちがいいんだろう!

「う〜〜〜〜ん、気持ちいい!」

 昨日の体調不良が嘘みたいに、気分爽快だ。
 水着は新調出来なかったから去年と同じものだけど、気に入ってるから良しとしよう。
 辺りを見回すと、皆それぞれビーチバレーを楽しんだり、海に入って泳いだり思い思いに楽しみ始めている。

「小日向」

 さて私はどうしようかと悩んでいると、後ろから声をかけられた。

「あっ、風名君……」

 私は一瞬風名君の姿に言葉を失った。
 だって水着姿の風名君は上半身が露になっていて、間近で見るその裸はとても均整の取れた筋肉がついていたから。
 ど、どうしよう。直視出来ないよ……。

「やっぱり夏と言えば海だよな」
「あ、そ、そうだね」

 そこでふと私の顔を見つめると、風名君が尋ねて来た。

「小日向、去年見つけたんだけどさ、あっちの岩場の向こうに洞窟があるんだ」
「え? あ、あそこ?」

 俯いていた顔を上げ風名君が指差す先を見た。

「そ、洞窟って言っても短いトンネルくらいなんだけど、そこを抜けると小さいプールみたいに水が満ちててさ、ぽっかり天井に穴が空いてるんだ」
「へえ……」
「そこから空を見上げると、すごく不思議な気持ちになるんだ――」

 なんだか素敵そうな場所だな――そんな風に思っていると、ふいに背後から名前を呼ばれた。

「せんぱーーい! 小日向せんぱーーい!」

 振り向くと、こっちに向って潤君が駆け出して来ている所だった。
 満面の笑顔で向かってくる潤君。水着の上にパーカーを羽織ったその姿が、すごく可愛く見えた。

「風名先輩、小日向先輩! 一緒にビーチバレーでもしませんか?」

 私達の目の前まで来ると、潤君はにこやかにそう言って誘ってくれた。

「えっと、俺は――」

 風名君が何かを言いかけたその時――

「玲君」

 今ここにいるはずのない人物の声が背後から聞こえて来て、私達は一斉にそちらへ視線を向けた。