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私のやんごとなき王子様 波江編

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「風名君は人気があるから、演劇の出演者を選んだ女の子の中には彼目当ての子もいるんじゃない? もしかしてキミもその一人?」

 ――――え?
 一人の男性記者の質問に、私は戸惑った。だって、正直それに近い動機だったから。

「ちょっと、ちゃんと受け答え出来る人はいないの?」
「黙ってちゃ分からないでしょう? こっちも仕事で来てるんだからさあ」

 どうしよう、私、私……
 きちんと答えられない私に、周りは呆れ始めて酷く悪い空気が漂い始めてしまった。
 その空気のおかげで増々言葉が出なくなったその時――

「はーい! そうでーす! 僕は風名先輩に憧れて出演者を希望しましたー!」

 元気な声が背後から響いた。この声は――
 振り向くとそこには、潤君がいつもの笑顔で微笑んでいた。

「あれ? 君は――確か波江潤君だっけ? 今、1年生の」
「はいっ! よろしくお願いします!」

 潤君はそう言って元気に返事をする。
 星越学園の時期王子様と名高い彼は――まだ芸能界に所属すらしていないのに、もうマスコミに注目されてるんだ……。

 ぼんやりとそんな事を思っていると、潤君が私の横へピタリと肩を寄せて、私にだけ聞こえるように小さな声で囁いた。

「ここは僕に任せておいて下さい。大丈夫ですから――」
「あっ……ありがとう……」

 私は小さく返事をすると、そっとその場から離れた。

「えーっ!? 風名先輩の魅力ですか? ありすぎて答えられないですよーっ!」

 なんていう元気な声が後ろで響いている。記者達も私と接していた時とはまるで別の集団のようにほがらかに笑いながらシャッターを切っている。
 ……凄いんだなぁ、潤君。

 そんな風に感心していると、ワァァァァっという大きな歓声がふいに辺りを包み込んだ。
 俯いた顔を上げると、風名君と亜里沙様が取材陣達に受け答えを始めたようだった。
 そこはもう完全な別世界で。
 潤君も同じように風名君達と肩を並べている。その様子に戸惑う人間はこの学園にはいない。
 星越学園に通う生徒にとっては、こんな事は当り前の事なのだ。なのに、私は――

「ちょっと、小日向さん大丈夫? 顔色悪いけど」

 近くにいた女子が私の顔を覗き込む。