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私のやんごとなき王子様 風名編

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「おはよう、小日向! 佐和山!」
「風名君、おはよう」
「おはよう!」

 駅の改札口を出た所に風名君が立っていて、相変わらず爽やかに笑って挨拶をくれた。
 朝から風名君の笑顔を見ると、一日が爽やかに過ごせるな。隣りのさなぎも嬉しそうに笑ってる。

「荷物持つよ」

 そう言うが早いか、風名君は私とさなぎの荷物を持ってくれた。

「えっ!? いいよ、重たいよ!」
「大丈夫、俺、男だし。それに自分の荷物はもう集合場所に置いて来てるから手ぶらだしさ」
「ありがとう……」

 本当に優しいなあ。もしかして私達の事を迎えにきてくれたのかな。
 さなぎと顔を見合わせ笑うと、三人で並んで集合場所の港へと向かった。


*****


 私達の目の前には大きなフェリーが青空をバックに悠然と佇んでいた。
 毎年理事長がチャーターしてくれるこの大型フェリーに乗って、理事長所有の島へ向かうのだ。
 港に勢揃いした我が星越学園の全校生徒。とは言っても生徒数が少ないうちの学校だから整列した様子に圧倒されるってことはないんだけど。
 そしてさなぎとはここからはしばらく別行動。各担当毎に集まって乗船する。


「小日向が探してくれた本とDVD、すごい良かったよ」

 私は演劇出演者の列の端の方ににそっと並んだ。
 そこでぼんやりと各担当のリーダーが人数確認しているのを見ていると、一緒にいてくれた風名君が話しかけてきた。

「え? あ、昨日の?」
「うん。あの後小日向を一人で帰しちゃったから心配しててさ、何度も電話するか迷ったけど、仕事が終わって家に帰って来たのが遅かったから出来なくて。お礼も言えなくてごめんな」

 あ、そうか。だからさっき改札口で待っててくれたんだ。
 そして私は昨日の夜に風名君が出演していた音楽番組を思い出した。