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ツカノアラシ@万恒河沙
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novelistID. 1469
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青髭の塔

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お待ちしてます、貴方。お待ちしてます、貴方。お待ちしてます、貴方。お待ちしてます、貴方。お待ちしてます、貴方。貴方が来ないので、待ちきれなくて、私は青髭を縊ってしまいました。これも貴方への愛ゆえです。お待ちしてます、貴方。お待ちしてます、貴方。今日は貴方のおうちに来ています。あまりに、助けに来てもらえないので来てみました。特別に作った合鍵で、おうちに入りました。人気のないがらんとしたおうちでした。私は貴方をお待ちするために、寝台の上で丸くなりました。貴方を殺すために。私も一緒に死にましょう。あの世で、幸せに暮らすのです。どうやら、悪魔の魔手から、貴方を救うのが私の役目みたいです。もうすぐ、貴方は帰ってくるに違いません。ああ、扉が開く音がします。もうすぐ、ここにくるのでしょう。そして、寝室の扉が開きます。お帰りなさい、貴方。

私は、平凡を絵に描いたような男である。私がいない間に、大家がどこかにいなくなってしまったそうである。大家のいなくなった部屋には、腐った肉の入った大きな冷蔵庫、机の上には放置された姫カットの鬘、箪笥に沢山のロリータ服、そして首に縄が巻かれた青い髭を持つ大きな人形が床に転がっていたそうである。いったい、誰が鬘とロリータ服を着ていたのだろうか。お世辞にもいなくなった大家が着ていたとは到底思えなかった。そんなことよりも、私の妻は一体全体どこに行ってしまったのだろう。『少女探偵』に聞いても、首を振るだけで何も教えてはくれなかった。何故、教えてくれないのだろう。仕方ないので、私は大家のいなくなった部屋で待つことにした。鬘をつけ、ロリータ服を着て、青い髭を持つ大きな人形と一緒に。いつまでも。いつまでも。
ここは、青髭の塔。お待ちしています、貴方。私は、青髭の幼妻。

謎の大家は老女でも男性でも可。ご想像にお任せします。