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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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み・え・る…

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 最初は好奇心だったの。
 だって、みんなそうでしょ?
 ほら、怖いもの見たさっていうの。あれよ。
 どこの学校にも七不思議があるでしょ?
 それから、都市伝説とかっていうの。そのたぐい。
 だれだって、どうせ嘘だって思いながら、でも、もしかしてって、おもしろ半分に確かめたいと思うじゃない。
 わたしだって、そうだったんだもん。
 いつ頃からかしらないけど、放課後の四時頃になるとおばあさんが現れるっていう話が出始めて、その場所は体育館だったり、倉庫だったり、トイレだったり……。
 ようするに、学校によって、出る場所はいろいろだったけど、とにかく『四時婆』っていうお化けが出るってうわさが流れたの。
 四時婆。
 ほら、知ってるでしょ。それよ。
 わたしの学校にもそんなうわさが出始めて、ある雨が降りそうな薄暗い日に、友だちと何人かで見に行ったの。
 そこは、古い講堂で、今は物置になっているの。
 昔の机やいすとか、使わないものを入れてあって、壊すっていう計画もあったけど、予算の関係で、未だにそのままになっているの。
 お母さんが通っていた頃は、立派なすてきな講堂で、入学式や卒業式はもちろんだけど、学芸会や音楽会も開かれたりして、とても楽しかったっていう話を聞かせてくれた。
 それが、いまじゃ、立ち入り禁止。しかもお化けがでるっていうおまけまでついてるし。
 
「やっぱり、こわいわ。やめようよ」
 講堂の裏口の前まできたとき、こわがりのサッコがわたしのブラウスをひっぱった。
「なによ、今頃。サッコだって乗り気だったじゃない」
 気の強いアキちゃんが、あきれたような声を出した。
「だいじょうぶよ。どうせうわさにきまっているんだから」
 ミサちゃんは笑いながら、サッコの肩を軽くたたいた。
「そうよ。それにみんなで一緒だもん。こわくなんかないよ」
 わたしはサッコを励ますと言うより、自分を励ますように言った。
 やっぱり、ちょっとはこわいもん。
「あら、声がふるえてるよ。チコ」
 アキちゃんがわたしをからかうようにいったので、サッコは少し、安心したような顔をした。
 でも、アキちゃんはするどい。わたしが怖がっているって見破った。
 
 裏口からはいるのは、わけがある。表の方は、校舎からみえるから。
 万が一、先生にみつかったら叱られる。
作品名:み・え・る… 作家名:せき あゆみ