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生きてるって素ン晴らしい!

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「イヤっすよ。あんな、死者の道に長年住んでてナニも感じないような人」
「ふふふ」
 影山は、笑った。藤宮の放つ類稀な磁場は、この場所の特異性と相殺しあっている。おかげで、競合相手なく彼は快適に過ごせるのだ。
「お」
 あることに気付き、影山の声が弾んだ。
「おい藤宮! この手形、般若心経唱えながら拭くと消えるぞ」
「ぎゃ! よけい怖いよ!」
「消えなきゃ怖くて、消えたらまた怖いって! どうすりゃいいんだよお前は! ほんとわがまま!」
「え! 俺が悪いの?」
 七時を待って、二人でモーニングを食べに外へ出た。


 商店街の辻占い師は、藤宮の顔を見た途端逃げ出して、もう二度と姿を現さない。ちょうど影山も一緒にいたからだろうか。
 そして連休を待って、藤宮は祖父の見舞いに行った。てっきり弱っているかと思いきや、孫より年下の可愛いガールフレンドに介抱されていた。ジジイの癖に俺よりモテてるなんて!とショックを受けていたら、叔母から、じいちゃんは若い頃からかなりモテたって話を聞いてまたショックだった。そして祖父からは、なぜか礼を言われた。
 ただし、ついてきた影山を見て、神妙な顔をする。後でこっそり、藤宮に耳打ちした。
「正人……。お前、友達は選んだほうがええぞ」
「えぇ?」


了(二〇〇九・一二・一二)