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面影リグレット 【お題:面影】

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「……ちっ。真田クンは何てヒドい人間なんだ。くそっ」
「……で、お前はどう思うんだ? 今回の例外に関して」
 僕は安倍の意見を聞きたかった。僕を助けたコイツ、安倍等含の答を。
「あくまでもボクの仮定だ。小夜チャンの『ありがとう』は本物の想いじゃないかな。……だから、これだけは言っておく。真田クンの想いは、小夜チャンにきっと伝わったさ」
 安倍は、笑顔でそう言った。
 僕は思った。安倍はお節介なくらい良いやつだって。僕は、コイツに感謝しなくてはいけないなって。
「昔の人はよく『面影』だなんて言ったよね、真田クン」
「ん? 何でだ?」
「いやさ、『面影』は『面影』であり『想影』でもあるんだ。想いが強ければ、それだけ《面影》は強く現れる。そして、その想いは時に、相手の《想影》すら呼び出すような、奇跡になる」
 そう言う安倍はどこか楽しげだった。
「安倍……ありがとう」
 教室に着くと、僕はもう一度感謝の言葉を伝えた。
「ははは、次からはお金払わせるからね」
 そんな安倍の言葉を背後に聞きながら、僕は席に着いた。
 安倍等含、不思議な男だ。
 僕は窓から大空を眺めた。
 その日の空は、僕の心のように晴れ渡っていた。


Fin.




後書き

 僕の稚拙な文章を最後まで読んでいただき、感謝します!
 着想から執筆までに一週間ほど時間が掛かりましたw
 掌編にしようかと思っていたのですが、ダイジェスト感が酷かったので、思い切って短編にさせてもらいました。
 陳腐な内容だったかもしれませんが、感想をお願いします。
 今後も長編『undecided』(僕のブログ『哲学のプロムナード』で連載中)を続けながら、今回のようなお題小説に挑戦したいと考えているので、よろしくお願いします!

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