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私のやんごとなき王子様

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 図書室へと行くとちょうどさなぎが出てきて、私に気付き笑顔で近づいてきた。

「美羽〜。真壁先生に相談してきた?」
「うん。先生にどうしても決められなかったら先生の手伝いしろって言われた」
「あははっ。本当に美羽ってば皆に好かれちゃって、この〜!」

 ぐりぐりと私の腕をつつくと、さなぎは相変わらずの元気な笑顔をくれた。
 さなぎの笑顔っていつも私に元気をくれるんだよなあ。

「そんなんじゃないって、優柔不断だから呆れてるんだよ」
「優柔不断は自覚してるんだ。でもさ、明日までに決めなきゃいけないのは変わりないんだし、しっかり悩んで美羽が後悔しないようにしなよ」
「うん、ありがとさなぎ」

 やっぱり皆優しいな。こんな私を気遣ってくれて。
 二人で並んで校舎を出ると、夏の香りが風に乗って私達の体を掠めて行った。
 楽しい演劇祭にしたい。さなぎが言ってくれたように、後悔したくないんだ。


「頑張れ、小日向美羽!」

 私は空を見上げて小さくつぶやいた。