私的文章創作研究
◆世界観を使った描写
ではでは、世界観を上手に使って描写してみます。
まずは典型的なファンタジーにおける駄目な例です。
「くっそ、巫山戯んなよ、クソジジイ。ビニール袋みたいなしわしわの顔しやがって」
そう云って、少年は剣を握る。鋼鉄の剣は、鉄パイプなどと比べものにならないほどの重量感を見せる。
対峙する老人は無手であるが、構えにはいっぺんの隙もない。柔軟で、かつ圧倒的な威圧感は、さながらそびえ立つゴムの壁である。
ニヤニヤと、まるでひょっとこのように、貼り付けた笑顔。
「なめんじゃねぇ!」
とこんな感じで。
えー、突っ込みどころ満載ですね。
1)ビニール袋
ファンタジーに普通は出ませんよね。
2)鉄パイプ
同じく、ファンタジーには出てきません。
3)ゴムの壁
ゴムも、あってたまるかと言った感じです。
4)ひょっとこ
日本のお面が出てこられても……。
と、四つほど。
これらの問題は簡単です。
『その世界において存在しないものによって例えられてしまっている』んですね。
では、修正して書いてみます。
「くっそ、巫山戯んなよ、クソジジイ。干しブドウみたいなしわしわの顔しやがって」
そう云って、少年は剣を握る。鋼鉄の剣は、棍棒などとは比べものにならないほどの重量感を見せる。
対峙する老人は無手であるが、構えにはいっぺんの隙もない。柔軟で、かつ圧倒的な威圧感は、さながら林立した柳の壁である。
ニヤニヤと、まるで狐のように、貼り付けた笑顔。
「なめんじゃねぇ!」
こんな感じです。
よく、『弾丸のように』とか『爆弾』とか使ってしまいがちですが、気をつけると良さそうです。
そういうときは、『ドラゴン』とか神話の武器とかが使えます。
わかりやすいかと思い典型的なファンタジーを例にしましたが、他の世界観でも使えますので、気にしてみてください。