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二野上
「先輩、私なら大丈夫です」
七々原
「紗香ちゃん……？」
二野上
「本当に大切なものは全部、記憶してますから」
七々原
「大切なもの……？」
二野上
「ふふっ。先輩とか、ミリカちゃんとか」
七々原
「……さや……」
二野上
「だからそんなに悲しい顔しないで」
七々原
「……どうして」
二野上
「神様は私から光を奪ったけど、音まで奪う事はしなかった」
二野上
「私は先輩の声から、沢山の情報を貰えます。だから、大丈夫」
七々原
「紗香ちゃん……」
二野上
「ふふっ。先輩の声って本当に優しい」
七々原
「……紗香ちゃん」
二野上
「先輩……？」
ミリカ
「あっれーーー！　お兄ちゃん来てたのーー？！」
七々原
「ミッミリカ！　よっ、よう！　久しぶりだなー！」
ミリカ
「ホントだよ！　ミリカ何度も紗香ちゃんのお見舞いに来てってお願いしたのにーっ！」
七々原
「ごめん……」
二野上
「ミリカちゃん、先輩はデーケルターレのパイロットなんですもの。そんな事言っちゃ――」
ミリカ
「それにしたって遅い！　遅い遅い遅―いっ！　もうすぐで紗香ちゃん退院なんだから！　一回もお見舞いに来ないまま退院しちゃうトコだったんだよー」
七々原
「退院？」
二野上
「はい、そうなんです。一週間後に退院予定なんですよ。後は自宅で――」
ミリカ
「ぶっぶー。紗香ちゃんは退院したらミリカと暮らすんだよーっ！」
二野上
「ミリカちゃん……？」
ミリカ
「だって……だって……心配なんだもん……。ね、お兄ちゃんも一緒に暮らした方がいいと思うよね……？」
七々原
「ああ。いい事考えたな、ミリカ。」
ミリカ
「でっしょー。」
二野上
「でも、そんな……ミリカちゃんに迷惑……」
ミリカ
「迷惑なワケないじゃん！」
二野上
「でも……」