少女機械人形コーパス 第一幕
尾ヶ崎
『このヴィロネカート……以前より動きが正確になってます!』
土方
『やはりアレは目と断定してよいでしょう。今回のヴィロネカートは確実にデーケルターレの動きを追いかける事が可能と思われます。』
白い球体に浮かぶ複数の黒い珠。
それらはまるで人間が視線を動かすようにキョロキョロと瞬き、そしてその瞬きは確実にデーケルターレを捕らえていた。
ジョエル
(殲滅じゃない。撃破でいいんだっ)
倒れこんだデーケルターレを押さえ込むようにヴィロネカートは襲い掛かると、固体の中心にある切れ目をパックリと上下に開いた。
ジョエル
「っ?!」
そのままデーケルターレの頭部を己が体に取り込もうとするヴィロネカート。
ジョエルは最大限の力で上下に開いたその固体を、決して閉じさせないよう抵抗する。
ジョエル
「くっ!」
左文字
『ジョエル!Mハイドレード弾を使え!』
ジョエル
「了っ……解!」
Mハイドレード弾用発射レバーを引こうとしたその時の、僅かな一瞬の力の緩み。その緩みによってデーケルターレはヴィロネカートの力に敗北する。
左文字
『?!』
バクンッ!<SE>
一際大きな音がし、デーケルターレの頭部は完全にヴィロネカートに飲み込まれた。
ジョエル
「まっだ……まだ……ぁ!うっ……ぐっ!」
必死にMハイドレード弾を放とうとすればする程、頭部への締め付けが増してゆく。
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文