少女機械人形コーパス 第一幕
野柳
「フッ。さあ、ではそろそろシミレーションルームに移動したまえ。左文字参謀長達も既に準備しているはずだ」
ジョエル
「はいっ!」
巳上
「野柳博士は?」
野柳
「私は他の仕事があってね。すまないが今回は君達だけで頼むよ」
巳上
「了解しました」
野柳
「おっと、忘れるところだったよ。――これを君達にプレゼントしようと思ってね」
<SE紙音>
ジョエル
「これは?」
巳上
「これっ……クリスマスリサイタルのプレミアムチケットじゃないですか!」
野柳
「新進気鋭のピアニスト黎苑由加里の中央ホールでの演奏だ。ジョエル君、君もたまには息抜きするといい」
ジョエル
「いいんですか……?でも、どうして?」
野柳
「何、クリスマス直前にフラれてしまっただけだよ。どうせなら二人に楽しんでもらった方が、私もずっと気が楽だ」
ジョエル
「えっと……その……」
野柳
「ああ、気を使う事はないよ。さ、受け取ってくれたまえ」
ジョエル
「あ……有難うございます」
野柳
「おっと、もうこんな時間か。引き止めてすまなかったね。それじゃ、私はこれで」
巳上
「いえっ、こちらこそっ。あのっ、有難うございました」
野柳
「楽しんでもらえることを祈るよ。では」
ウィィィン
<SE扉開閉音 足音遠ざかり 野柳消>
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文