少女機械人形コーパス 第一幕
第一幕
〜Non ominia possumus omnes〜(我々はみな万能ではない)
第一場
〜Cras amet qui nunquam amavit; Quique amavit, cras amet.〜( いままで愛したことがない彼が、明日には愛しますように。)
<デーケルターレの収容されているドッグ内でデーケルターレを見つめる野柳>
西暦2054年11月28日
午前9時05分
ヴィロネカート掃討政府組織コーパス デーケルターレドッグ
<背景:デーケルターレ 立ち絵:野柳>
野柳
「……………………」
野柳章司―Shoji Yanagi― 33歳。
志半ばで事故死した、故・茅野修博士の意思を継ぎデーケルターレを完成させたその人である。
現存する人類最高の科学者であり、ヴィロネカート掃討政府組織コーパスの副指令も兼任している。
ただ本人は科学者として誇りを持っているらしく、副指令と呼ばせる事は少ない。
野柳
「デーケルターレ…お前は私のものだ」
ウィィィン
<SE:自動扉の開閉音 SE足音>
???
「ここにおられましたか、野柳博士」
野柳
「…君か。左文字参謀長」
<立ち絵に左文字追加>
左文字京介―Kyosuke Samonji― 26歳。
ヴィロネカート掃討政府組織コーパスの参謀長。
第一部から第四部で構成される参謀部を取り仕切っている。
左文字
「野柳博士、そろそろお時間です」
野柳
「ああ」
左文字
「全人類があなたの言葉を待っています。大地に深く突き刺さったヴィロネカート……。
通称『楔の悪魔』に対抗しうる兵器を、あなたが完成させたという事実を公表する日が訪れたのですから」
野柳
「全世界に私の言葉を配信する。その日が……な」
左文字
「はい。正直に言いますと俺は、あの天才・茅野修博士が亡くなった時には人類の未来に絶望さえ覚えました」
野柳
「………」
左文字
「しかしあなたは完成させた。
天才・茅野修博士にしか不可能だと思われていた…デーケルターレを」
野柳
「ふふっ。私には無理だと…?」
左文字
「いえ!そのような事では…」
野柳
「いいんだよ、左文字。
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文